歌うのが好きで音楽の道を進む

 秋の日暖かな昼下がりにご自宅から歩いて来られ、清陵会館での取材に応じてくださった。梅北千香さん、ご結婚されたばかりとお聞きしました。

プロフィール
大阪音楽大学声楽専攻卒業。兵庫教育大学院修士課程修了。
第5回あおによし音楽コンクール総合第一位及びハンナ賞を受賞、第12回べーテン音楽コンクール第一位を受賞の功績により、令和元年度さんだチャレンジャーズアワード文化分野において、地元三田市から表彰を受ける。
第25回KOBE国際音楽コンクール優秀賞受賞。
オペラ『魔笛』パミーナ役『コシ・ファン・トゥッテ』ドラベッラ役を演じる他。
ペルゴレージ《スターバト・マーテル》やモーツァルト《ミサブレヴィス》等にソプラノソリストとして出演。2022年にテレマン室内オーケストラと共演。

音楽との出会い
 ギターを趣味にしていた父の影響で3歳からピアノを習い始め、小学校では合唱団に所属していました。
 中学では吹奏楽部に入部し、フルートを演奏。部活動の行事として郷の音ホールで行われた敬老会に出演し、大ホールを舞台に一人で歌いました。その時に貰った拍手が嬉しく、音楽大学で歌を学ぶために当時からピアノを指導いただいていた中野良子先生から受験に必要な音楽の基礎知識をおそわりました。
 中野先生は恩師であると共に私の人生にかかせない大切な縁を繋げてくださった方で、現在も大変お世話になっています。

高校生のころの思い出
 有馬高校一年生の担任は小宮山先生でした。2学期の途中で母がこの世を去り、先生にはとても心配をかけたことと思います。この頃から声楽を油井宏隆先生に師事し、発表会で初めて父の前で歌を聴かせることになりました。普段からお世辞を言わない父が、帰宅後母の仏前で「千香歌めっちゃ上手いんやで」と涙ながらに報告していた姿は、今もなお演奏活動を続ける原動力として私を支えてくれています。そんな父も翌年に他界し、中野先生の紹介で弁護士の表宏機さんに未成年後見人として親代わりをしていただきながら、叔父や先生、友人等周りの方々に支えられて過ごしました。特に担任を外れても気にかけてくださっていた小宮山先生や、以前と変わらず接してくれた友人たちには随分助けられました。そのお陰もあって、入学時から魅力的に感じていた音楽系列の授業や文化祭でのピアノ伴奏、3年生ではコースの代表として歌を発表したことなど、楽しい思い出でいっぱいの高校生活となりました。

大学では
 念願だった大阪音楽大学に入学し、福島慶子先生のもとで声楽を学びました。入学当初知り合いがいなくて不安だったのも束の間で友人も出来、互いに切磋琢磨しながら歌の勉強をしました。三年次には母校の有馬高校で教育実習をさせていただき、学生時代にご指導いただいていた石倉先生や神谷先生、松山先生にもお世話になりました。
 先生方のご指導のお陰あって卒業試験を2位の成績で通過し、優秀賞を受賞して卒業しました。卒業後は教育実習での経験や、小宮山先生のような生徒の心に寄り添える教師になりたいという思から、専門的な教育の研究をするために兵庫教育大学大学院へ進学しました。

大学院では
 野本立人先生のもとで、これまで培ってきた声楽の知見を、音楽教育へと結びつけるための研究をおこないました。また、授業の中で現在の演奏活動の一つとなっている”アイリッシュハープ”との出会いもありました。

大学院終了後は
2018年~
小野市うるおい交流館Harmonyエクラに所属
2020年~
三田市総合文化センター郷の音ホール第5期SATONONEレジデンシャル・アーティスト
2021年~
音楽科非常勤講師として兵庫県立三木東高等学校に勤務
2022年~
音楽科非常勤講師として三田松聖高等学校に勤務

現在は
 ソプラノ歌手として各地のコンサートに出演する他、福祉施設や三田市内の小学校などでアイリッシュハープの弾き歌い演奏や朗読・司会アナウンスなど幅広く活動を行っています。2025年8月には初のソロリサイタルを郷の音ホールにて行う予定で、自身を育ててくれた故郷である三田に、今後も歌で恩返しができたらと思っています。

 私が唯一誇れることは、人との縁に恵まれているということです。尊敬してやまない素敵な方々に支えられていること、大好きな歌を続けられていることに感謝の気持ちを忘れず、今後も励みたいとおもいます。