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塩山 栄子さん(有高2回)

平成15年7月1日の市制45周年記念式典で「三田市さつき賞」を受賞された、塩山栄子さん(有馬高校2回生)をご紹介します。 長年、女性の地位向上とボランティア活動の推進に尽力された塩山さんは、歌人としての横顔も持っておられます。
先日清陵会事務局へご来訪いただいた折りに、色々とお話をきかせて頂きました。
私は日本が戦争の渦中にあった昭和19年の春、旧制三田高女に入学しました。 花の女学生とも言える年代を戦時中の為、薪作り、芋掘り、藁仕事の作業をし、市内や長尾町(旧市内)方面へ田植え、草とりの勤労奉仕へ駆り出される辛い毎日でした。

昭和25年3月卒業後は、教員を志したのですが家族に反対され、当時流行の洋裁学校へ入学、3年の学習課程を修了後は、両親の切望する農業を継ぐことになりました。

結婚後農業を続ける私に、心のより処となったのは「短歌」でした。三田農林学校で教鞭を長年執られた藤園丸先生の親身のご指導を受けて、以来40余年作り続けた短歌の500首を『柿明り』と名付けて、昨年上梓いたしました。

この度三田市より、女性功労として、身に余る「さつき賞」を頂戴いたしました。
20年余三田市地区婦人会の役員として、又三田市婦人会長という大きな責任のある仕事に携わり、会員の皆様に支えられて2年前に退任いたしました。この期間は、婦人会にとりまして変革の時期でして、女性の社会進出、意識や生活の多様化など、会としても真価の問われる時期でした。高齢化社会の中で、ボランティアを中心に、役員や会員の皆様のご理解とご協力を頂きながら、貴重な体験をさせていただきました。
時々は本当に地域のお役に立てたのかな?と自責の念に駆られることもあります。今はただ会員の皆様からの応援賞でもあったのかと感謝しております。

古稀も過ぎて自分を振り返ると、私の心を支える原点はやはり、輝いて見える高校とその学友たちだと思います。 友達に出会うと50数年の歳月は一瞬にして戻り、会話は青春の日のままです。 伝統を守りどんどん飛翔していく有馬高校が誇りです。母校のご発展を心より祈っています。

歌集『柿明り』(短歌研究社、平成14年9月発行)より

ひろげゆく我に地図なし野に残る 母の形見のらっきょうの花

一塊の土さえ財として生きし祖らの 残せる農具のあまた

枠返えす度に小さく水鳴りて 我が手許より青田ひろがる

(塩山栄子)

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