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辻 満治さん(農林40回)

今回めでたく勳六等瑞宝章を受賞されたのを機会に、親谷副会長とともにお伺いしました。
近隣のよしみで以前より、穏やかで、接する者の気をそらさない素晴らしいお人柄とは知っていましたが、 今回改めて、その原点に触れた思いです。
招じられた先は、世代・男女の別なく人と人が心を通わせるために昭和55年に創設された、 通称”山小屋”と呼ばれている建物でした。
いずれも手作りのお茶室や酒樽を利用した目を引く外観に水車が回る、とても自費での建築とは思えない建物でした。   部屋に通ると季節々々の木彫りの作品が待って居てくれました。 これも全て辻さんの手によるものだそうで行事・催しごとに心を込めたお客様へのメッセージとお見受けしました。 最新作は近く開かれる観月会の為の河童の月見人形……。 その人形に添えられた「心はいつもまん丸」のメッセージは、辻さんの目指しておいでの、人生の苦労を喜びに変えて暮らすそのためにはいつも”足ることを知る”。 不満だらけの現代人への痛烈な風刺とお見受けしました。

辻さんの今回の受賞は、40年に亘る統計事業への活躍が認められての授賞とお聞きしましたが、 その他にも、三田ユネスコ協会の理事を経て会長として来年の創立40周年に向けて奔走中のご様子。
かたや皇居奉仕団としても、30年もの長きに亘り奉仕活動を続けられ 、つい最近会長職をお譲りになられたとか。 最近では元旦や新嘗祭の催事に供される”勝ち栗”一荷を献上して居られます。
更には民生委員や社会福祉協議会の理事など、ご活躍は多岐にわたっています。
地元にあっては三田工業団地の育成に力を注がれ、絶えず地域伸展に心を砕かれ、 どの役職においても厚生大臣・総務大臣・知事表彰をはじめ数多くの表彰・感謝状を授与されるなど、活躍の充実度が伺われます。

何が氏をここまで駆り立てるのか? 非常に興味のあるところですが、 お伺いすると、先生を志して入学された池田師範学校を中途より陸軍航空隊幹部候補生として、 ペンを銃に持ち替え、空の護りに身命を賭し、多くの戦友を喪われました。
結果として「私は幸運にも生き長らえさせて貰っている、この命を誰かの為に」こうしたお考えが、 58年経った今も辻さんの心を捕らえて離さないとのことです。 歳を重ねてなお戦地に赴いて慰霊を続けられる多くの戦友の心境にも似て、思わず頷いてしまいました。

「青春とは若さなり」 「歳を重ねる毎に人との交流を深める」 とおっしゃる辻さんは、現在も北県民局”夢ビジョン会議”の委員として 又有馬富士公園「NEWファブル有馬富士」に昔の遊び連続掲載中など、若者顔負けの御活躍中です

後日”山小屋 月見の集い”にお誘いを受け、幸運にも参加させて戴く機会を得ました。 道すがら行灯が灯り篝火が焚かれ、酒樽のお茶室には独特の雰囲気が漂い、2代目の水車が回ってとても素晴らしい風情を醸していました。
会場には、住民の新旧男女の別なく各界各部門でご活躍の皆さんが60人もお集まりでした。 そして”三田の四季”のスライド60カットに 詩吟・都々逸・福引きで夜が更けてゆきました。

人が人の間で暮らすから人間なのだと言われて久しいが、世相は他者との触れあいを避ける傾向にある。
世に鉄槌を加える意味で、御健勝でますますの御活躍に大いなる期待を込め、稿を閉じます。

(文責:大西勲)

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