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阪上(畑) 洋子さん (有高15回)

「商店街のホームセンター畑荒物店を切り盛り」

有馬高校から市街地へ、10分ほど下ったところにある本町センター街。その中ほどに「畑荒物店」という店があります。下町のホームセンターと呼ばれるこの店の店主が阪上洋子さんです。阪上さんが有馬高校に通っていた頃は商品が飛ぶように売れていて、店の休みは正月三が日だけ。阪上さんも自転車に商品を積んで、本庄あたりまで配達に行ったそうです。「手伝うのが当たり前の時代だったからね」と。

高校時代の思い出は何よりクラブ活動。ダンス部、茶道部、演劇部を掛け持ちで、「毎日が楽しく、充実していました。」と言われます。特にダンス部は、幼稚園のときからバレエを習っていたこともあり、夢中になっていたそうです。当時は文化祭と体育祭がクラブ発表の場で、ダンス部は、振り付けはもちろん衣装も自分たちで考え、華やかに踊られたとか。茶道クラブでは、11月3日の文化の日に二条城のお茶会に参加したことが、思い出に残っているそうです。

また、家業の手伝いのため18歳で車の免許を取得し小さなたんすを有馬まで配達されたと言われます。当時は、女性が免許を持つことは珍しく、三田に教習所もなく、三木の教習所まで通って取得されたそうです。

その後、宝塚の文化学院で洋裁を学んだり、宝塚ホテルで料理を習ったりして、暫くの間三田家政女学院で家政一般を教えておられました。結婚後は主婦業の傍らに家で洋裁教室をされて、「有高時代に覚えたことはひとつも無駄になっていない」と言われます。

また、その頃から、高齢になったご両親の店を手伝いに、お住まいの山本から三田に通っておられ、ご両親が亡くなられた後も毎日、山本から通われて店を続けておられます。「ボランティアに来てるみたい」と笑われますが、お客さんの要望で品数もどんどん増えてきました。

昔も今も「畑商店」は地域になくてはならない店です。軽トラの窓から「ほうきちょうだい~」と言われると「はいはい~」と持ってきてくれる、こんな便利でありがたい店はない!とお客さんは口をそろえます。

今年からは、定年退職された弟さんが店番をされる姿も見かけます。うなぎを捕る「もんどり」や井戸の「つるべ」がぶら下がる畑商店。一度訪ねてみてくださいな。探し物が見つかるかもしれませんよ。

(執筆:中西尚美)