1998(平成10)・1999(平成11)・2000(平成12)年度の3年間、有馬高校定時制教頭としてお勤めになった。井口剛校長と同じ年の着任、一緒に本校で過ごされた。
加東市のご自宅にお伺いしてインタビューさせていただいた。
冒頭にこちらも元気になれるお話から始まった。近親者の方が104歳、98歳まで杖をついておられた。ところが大還暦(数え121歳)を迎えようという目標ができると、杖なしで歩行、階段の昇降も自分で歩いて。人生、目標は大事ですね。このこともあって「笑顔で自立、白寿まで笑顔で自立めざしたい」と高齢者に語りかけておられるそうだ。
さて、定時制の思い出を―
定時制は職員も少人数ですが皆さん元気でした。「生花・茶作法」を担当されていた田守栄子先生、最近は播州清水寺で花を活けておられる。田守先生が生徒を教えていらっしゃるとき、生徒の横でお茶とお花を習う機会があった。基礎の基礎でしたが、これが役立つときが幾度となくあった。校内の式典の前、活けてあった花が乱れていたときがあった。だれかが触れてしまったのだろう。これを誰も直せない。このとき田守先生から習っていたことが役立った。私が直すと生徒も注目してくれた。淡路高校に赴任したとき、同校の一宮校(2011(平成23)年3月閉校)は、お茶・お花・琴が熱心だった。生徒の前で話すときも役立った。同校のお茶は裏千家。全国で3校ほど表彰してくれる。野点をする茶道具を寄附された。三角和代先生の書道を横から見ていて、勉強させてもらいました。いま趣味の世界で川柳をやっている。作品を短冊に書くときにそれが役立っている(短冊と兵庫県退職公務員連盟会報に作品を発表されているのを見せていただいた)。
わたしが赴任する前から定時制は社会奉仕に熱心でした。老人ホームに出かけて行き、劇をしたり歌を歌ったりと。生徒指導部主催で以前からやっていました。一休さんをもじった寸劇では、坊さんの頭をどうするか生徒がアイディアを出す。古いバレーボールを半分に切って、これを頭に被る。なかなかおもしろかった。
中学校のとき不登校の生徒も入学している。有高の校門から中に入れない。1カ月ほどかかって学校の中まで入れるように、友人が上手くかかわっていたやさしさも印象に残っている。
定時制のあとは―
2001(平成13)年4月に淡路高校校長として着任。総合学科高校でした。3年間同校に務めて、2004(平成16)年3月に定年退職。退職後は兵庫県産業教育振興会事務局長の仕事をしたり、県立高校、私立高校(非常勤)で商業科目を教えたりもした。今年3月までは関西学院大学(西宮上ケ原キャンパス)で、教職をめざす学生のための「教科教育法」(商業)を担当していた。地歴などは受講者が多いが、商業は少人数の学生。週1コマだが、学生たちは真面目そのもの。
最後に学校厚生会の活動「会員の八百屋さん」を教えていただいた。
「会員の八百屋さん」が3,4年前にスタート。きっかけは厚生会会員の相互のつながりをつくりたい、大事にしたいとのおもいからだったそうです。買い物の足が不十分、買い物に行けない、こういった会員さんに作った野菜を届けましょうとのこと。提供する野菜が無いときはお断りすることもあるが、基本毎月だそうです。過去の案内から神戸さんの「1月のお届け野菜 野菜セット」を紹介すると次のようです―「健康野菜ヤーコン、白菜、大根、人参、ほうれん草、ワケギ」。孫がよろこんで食べるとお礼の手紙をいただくこともあり、これが励みだとおっしゃる。絵手紙でいただくことも。固定客も、また西瓜や黒豆は遠方から収穫に来て帰られる方も。
ご自宅で話を伺ったあと、野菜を作っている畑を案内してくださった。1年を通すと20種類ほどの野菜を栽培されているようだ。ヤーコンははじめて見る野菜なので、畝を(記念)撮影、南米アンデス地方原産のサツマイモに似た形で、低カロリーで甘みのある健康野菜として人気だそうです。また“食べる血液”といわれるビーツもはじめて見る野菜なのでまたまた記念撮影。近くに加古川などが流れるため、川が障壁となって獣害は少ないとのことでした。
神戸さん、「白寿まで笑顔で自立」、さらに大還暦を迎えるまで、おいしい野菜を皆さんに提供してください。
【追記】 事務局長と二人で訪問しました。畑で抜いてくださったビーツの食レポにもなりませんが簡単に報告を。インターネットでは、“ウクライナの家庭の味 ボルシチ”などのレシピが公開されていますが、家庭では簡単にいこうと、ひとつは茹でてマヨネーズをつけて食べて美味、ふたつめは甘酢漬けにして食べて美味。語彙が貧弱なのでテレビのような食レポは無理ですが、美味しかったですよ。

(執筆 上垣正明)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤーコン・ビーツと珍しい野菜を栽培されています。