今回は、三田市内のご自宅でヒンメリ(フィンランドの工芸品)の制作と教室をされています、福島淳子さんにお話をお伺いしました。
有高時代は三年間オール8組で、二年生の時には大規模な建て替え工事があったそうです。そのため、3年8組だけが農業棟の最上階の教室でした。そこに普通科はひとクラスだけだったので、仲間意識が強くとっても仲の良いクラスだったそうです。
クラブは「書道部」副部長さん。「とにかく書いたり、作ったり、手先を使うことが小さい頃から大好きでした。書道部の部室は、ピロティと呼ばれている場所にあり、雨降りの日に作品を書いていると、運動部の生徒たちが走ったり筋トレをしたりと賑やかでした。中庭には季節の花が植えられ、園芸科の生徒たちが作ったパンジーの苗もたくさん置かれていてとてもきれいだったのを憶えています。素敵な学校でしたよ。」
卒業後は販売や事務の仕事をされていました。その後三田に戻り、結婚、子育て、そしてヒンメリに出会い、今は、午前中事務のお仕事をして、午後からはヒンメリの制作と教室をされています。ヒンメリは、ライ麦の穂先と根の間のストローになったところに糸を通して、一本の糸をつなぎつなぎして、一筆書きのようにしあげていきます。ところが、このライ麦がなかなか手に入らなくて、福島さんはご家族と協力してライ麦つくりからされています。「雨が続いて倒れてしまった麦が、日にあたるとまた立ち上がるんです。」そんな麦の姿にも勇気をもらうといわれます。フィンランドの国では、厄除けや五穀豊穣に感謝して作られるらしく、日本のしめ縄とよく似た意味を持っています。
福島さんがヒンメリに出会ったきっかけは、若いころに大病を経験され、その時の主治医から「からだとこころはつながっている。医者はからだを治すことができても、こころを治せるのは自分だけですよ」と教えられ、こころを癒すものを必死で探していた時に出会われたそうです。
これからの夢は?とお聞きすると、「ベビーヒンメリを作っていきたいですね。お母さんがおなかの赤ちゃんを思って作る、ファーストプレゼントを一緒に作っていきたいです。そして、そこがお母さんや赤ちゃんたちの交流の場所になれば嬉しいですね。」
三田で生まれ、三田で育ち、三田の土地の恵みでヒンメリを作って暮らす。「三田の土地に感謝しています」
お話を聞きながら、私の心もほっこりしてきました。
(執筆 中西尚美)