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菊田 穣さん(有高6回)

残暑いまだ厳しい9月11日、三田市在住の菊田穣(きくた・みのる)氏を清陵会館にお迎えして、 自然に対する愛着や今までに取り組まれた活動など取材させていただきました。
優しい眼差し、穏やかな語り口、ひょうひょうと歩かれる菊田さんは、 昔の子供たちが伝承してきた自然の遊び (例えば春はシロツメクサの王冠、夏は笹舟作り、秋はどんぐりのやじろ兵衛、冬は杉鉄砲等) を美術・技術の教育の場に活かし、教えてこられました。

有馬高校在学中に、恩師原田先生、神沢先生の薫陶を深く受けられた菊田さんは、 教師の道を選ばれて、宝塚市・三田市の中学校で美術の指導をされました。
今も、神沢先生から譲られたという植物辞典は大切に持ち歩かれ、 神沢先生の教え「最悪を予想して最善を尽くせ」の言葉を座右の銘とされています。
自然を大切にし、努力される菊田さんの姿勢の原点は、有馬高校農業科の学習にあったようですね。

菊田さんは、長年、自然保護や観察などに取り組み、武庫川水系の淡水魚や水生生物の調査や、 川で遊ぶ子供たちの指導を続けた功績により、県のコウノトリ賞を受賞。
1996年に定年退職された後も、三田学園中学校の技術指導の講師を務めるかたわら、 日本自然保護協会自然観察指導員、三田バードカービング教室主宰、クレマチス協会会長、北摂かざぐるま保存会会長など、 大変忙しい毎日を過ごされています。 2001年には、神戸新聞日曜版に連載された記事をまとめた著書『ネイチャーウォッチング 四季の草木遊び』も上梓されました。

人間は自然と共生でなければ生きられないという信念のもと、 とかく忘れられがちな、自然の営みの尊さを伝えるため、 これからもさまざまな活動をされることと思います。

(文責:神足芙美子)

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『ネイチャーウォッチング 四季の草木遊び』
菊田譲・著 神戸新聞社・協力
定価1,700円(税込み・送料別)
問い合わせ先 〒669-1533 兵庫県三田市三田町10-18 TEL079-564-3046(菊田)

  1999年6月から1年6ヶ月の間、神戸新聞日曜版・教育のページに連載された菊田さんの「草木を使った伝承遊び」が、 2年後出版され、教育界はもちろん、子供からシニアの世代にまで注目されています。
本を開くと、現代の子供たちが生き生きと楽しそうに取り組んで遊んでいる様子がカラー写真で紹介されています。
四季を通じての遊びが120種、菊田さんの創作遊びが19種、それぞれの作り方も丁寧に人柄あふれる文章で説明されていて、 遊びの原点、自然との関わりを専門的に説明されています。
誰もが楽しめる「四季の草木遊び」。ぜひ手にお取り下さい。

 

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この鳥は本物ではなく、木彫りの上に着色をほどこしたバードカービングの作品です。
生き物を殺して剥製にすることに反対し、こういった木などで本物そっくりのものを作って代用しようという運動の一環だそうです。