11月10日(水)、故團野博先生のご長女高岸紀子さんが、今回の仲介の労をとられた梶谷正治さんらと清陵会館にこられ、故團野博先生の製本された古典教材・資料が松田清陵会長に手渡されました。
故團野博先生は、大正11年のお生まれ、今年三回忌。若い時、神官になるべく國学院大学に学ばれた。そこでの古典との出会いはうらやましいかぎりです。先生自身のことばで紹介します。「大学で、折口先生が提唱される「いろごのみ」が、「源氏物語」に対する理解に深く結びついていることを学びました。武田祐吉先生から「古事記」を、今泉忠義先生から「国文法」を、柳田國男先生からは「伝承学<民族学>」のてほどきを受けました。」文中「折口先生」とは、国文学者であり民俗学者であり歌人でもあった折口信夫です。武田祐吉は国文学者、今泉忠義は国語学者として高名な先生方です。柳田國男は教科書でも紹介される民俗学を創りあげた人物です。柳田が講義するときは学外から小説家堀辰雄などもやってきて廊下で聴講していたそうです。
この團野博先生は、昭和27年から30年間、有馬高校で古典を教えられた。その縁で今回の寄贈となりました。
寄贈された資料について紹介します。
「平成二年春、三田市立図書館が開館され、記念行事の一つとして、初代館長岸田達男氏の要請により、團野博先生を講師に迎え、古典文学講座「源氏物語」が開講」(日本古典文学を読む会会員の方の文章)しました。つづいて「同年秋、有志による「日本古典文学を読む会」が発足。講師となり、会員とともに、源氏物語のほか、古事記など奈良時代までの上代文学、平安時代の狭衣物語、とりかへばや物語なども精読してきた。」(神戸新聞) これらの講座で講義のために使用してきた教材・資料を製本し、それが2017年に神戸新聞に紹介されました。その後、先生が亡くなられ、貴重な資料の散逸を心配されたご遺族の希望で、清陵会に寄贈されることとなりました。
なお團野博先生は生前、清陵会員によるインタビューに応じられ、その内容は本会のホームページ「恩師へのインタビュー」に掲載されていますので併せてお読みください。