山口県で開催されている日本最大級の彫刻展、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)に出品され、作品名「はじまりの はじまり」で大賞を受賞されました。
このたび、受賞されたのを知り、取材をお願いしました。

三宅さんの作品は卵の形をした造形物で、高さ3.5㍍、幅2.2㍍、重さ3.8トン。内部は鉄骨造で、外形はガラス繊維を混ぜたセメント(GRCセメント)で成形し、ステンレス製のプレートを約100枚貼られています。作品の上部にはコケや様々な植物が育っており、風に乗って運ばれてきた植物も芽をだして作品の一部となっています。
ステンレスの制作過程では、数種類の型を作りプレス機で成形、最終は金槌での叩き出しによる手作業で卵の微妙な曲線をつくりだしています。
制作は昨年の11月から今年8月までの約9ケ月かかったとのこと。
大きな作品なので運搬は横に倒し、浮いた状態で支えを作り大きなトラックで運ばれたそうです。

作品はどんな時に閃くのか伺うと
頭の中の引き出しが同時に数段開く瞬間があり、それらが混じり合い着想に至るそうです。卵形は4年くらい前から考えていて、ステンレスの造形と植物が結びつき、これでいこうかとなったようです。
卵は動物の生命の象徴として捉え、その象徴に偶然のように飛んできた植物が芽吹き育つ。「偶然の出来事は決して偶然ではなく、必然的におきている」という。

受賞した後の思いは!
「一つ達成してほっとした」と安堵感が押し寄せたことをお聞きしました。

※UBEビエンナーレ概要
山口県宇部市のときわ公園で、1961年以来、野外彫刻の公募展「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)が2年毎に行なわれている。開催の前年に模型作品の公募・一次審査が行われ、開催年に展示・二次審査、現在歴代の入賞作品などが、市街地や公園などに設置されています。
今回の第28回展は、欧米やアジアなど世界34カ国から234点の彫刻模型が集まり、応募作品の中から15点が実物大の制作に指定されました。
三宅さんの作品は2021年春まで現地で公開され、その後宇部市の他の場所に移して永久設置されます。
(山口県宇部市、UBEビエンナーレ運営委員会、毎日新聞社主催、宇部興産特別協賛)

(執筆 羽渕和美)