person

30歳過ぎから15年間お世話になりました。思い出してみるといろいろありましたが、嬉しかったこと、楽しかったことが浮かんできます。それも必ず、草花や木々と共に。古き三田農林から流れている有馬高校の伝統に少しでも浸れたのかな、と不思議な気持ちです。

求人の企業回りの車の中で、その香りにむせたフリージア、誰かに葉や花を千切られても力強く咲いた教卓や廊下のパンジー、書道教室で水を忘れられても何年も生きたアザレア、不意に季節を感じさせてくれた玄関横のニシキギ、「何かな、あの黄色は」と思わせたプール横のサンシュ、母の日に農場へ急いだカーネーション、次から次へと浮かんできます。その中でも、生徒と内緒話をよくした大温室、多くの蘭花が見守ってくれていました。波立った私の心にふっと静かな風を送り、自然な心と落ち着きを取り戻させてくれた草花や木々、さらに、その草花や木々は、私といっしょにいた生徒たちが育ててくれたものだった、というところに嬉しさと楽しさがあります。

数多くの生徒と共に、私を育んでくれた学校であり、草花や木々でした。今も元気に筆を持っています。

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(赤尾 正顕)